2006.09.11
ゆれる
監督/西川美和
主演/オダギリジョー ・ 香川照之
この映画を一人っ子の人が見たら、自分の知りえない人間同士の感情の部分なので、負い目を感じたりするんだろうか。結婚歴の長い友人に、夫婦間の心配ごとを相談されてしまった時の私のよに。
先日、弟と大喧嘩しました。
弟は、私がずるいと言います。
私は弟がずうずうしいと思っています。
弟は、私ばかり親に可愛がられたと思っています。
私は弟のほうが甘やかされたと思っています。
弟は、自分ばかり神経質で損をしたと言います。
私は彼は我がままで鈍感だと思っています。
結局、出ない答えで、出しても仕方のない答えで、ひとつだけ、
私が確かに知ってることは 、私達がきょうだいで、
そのことは死ぬまで消えない事実だということです。
香川照之の演技がすごかった。最初はあまりにも「いいひと」な兄貴なので、笑顔が道化ててキモ怖い。こういう人が一番キレると怖い。でも法廷での、現場の説明をする時の震える腕や、言いよどむ間とか、すごく気持ちが伝わってきて、応援したくなって、はらはらしてしまう。
現場で何がおこって、弟が何を見たのか、真実は観客に任されます。裁判でのせめぎあいは、「羅生門」での巫女さんなみに狸の化かし合いなのですが、実際、いつも人同士には愛憎が一緒にあって、究極の状態で両方がないまぜになって噴き出すっていうのは誰でも経験することなんだろうな。
弟が兄をかばいたくて黙っていたのも真実。
兄が弟を常に起てながらも、強い妬みを持っていたのも真実。
殺人者の弟になりたくなかったのも真実。でも嘘ついてでも
「やさしい兄ちゃん」でい続けててほしかったのも真実。
幼馴染の智恵子が弟についていこうとしたってウザがられるのも想定内(笑)
智恵子みたいな女は理解に苦しむ。未だにこういう女性はいるのかねえ。
「後悔してるの。あの頃の私は臆病だった。
なんでここから出ていかなかったんだろうって。」
↓
今からでもやればいいじゃん
「こんな街いや!猛君に東京に連れてってもらうんだから!」
↓
自分で行けよ カス
兄弟同士だと、「お兄ちゃん/弟はずるい」って、自分の価値を比較で決めるようなセリフの押収でケンカになることってよくあるけど、これって、たぶんほんとはずるくないんだよね。ずるいと思ってしまう自分が問題なんであって。
この兄弟でも、家業を捨てて気ままに生きてる弟は、確かに兄より思いやりが無い立場になっているかもしれない。だけど兄自身の、敷かれたレールや価値観から逸脱するのが怖くての保身の結果でもある。たぶんちょこっとずるいとしたら、弟のほうが顔がよくて女にもてるってとこだけかな。これはしょうがない。
あのあと、二人で家に帰って、何を話すでしょうか。たぶんお兄さんはもう弟に気を使うこともなく、大喧嘩できてたらいいね。
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