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2005.12
imgトーマの心臓
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トーマの心臓
萩尾望都

ただの美しい少年愛の話かと思ってたら、とても壮大なテーマでした。

ここで扱われているような、思春期に健全であれば誰もがかかるビョーキは、少女漫画でよく扱われますよね。だけどそこだけに留まらず、人間の生まれながらの罪、赦し、それから愛。まるで登場人物全員が、ひとりの人間が持ってる矛盾するそれぞれの感情を代弁しているかのようです。結局、一番つまはじき者のような役割だった、盗癖のある少年がただひとり、全ての物語を見越していた、というのも皮肉です。

キリスト教の概念だと、人間はみんな生まれながら罪を持っている悪い存在で、それをどう赦して救われていくかっていうのがあるそうですけど(詳しくは知らん)、憎しみは愛情と表裏一体であることをユーリの変化は示しています。まあ個人的に「死」を美化するのは嫌いなんですけどね‥。現実的に考えちゃえば、トーマの行為は全然愛じゃないと思う(本人はそう信じて死んでいったにしても)。トーマの生前の描写がほとんどないからそう感じるのかも知れないけど。

敬虔なカトリック信者(たぶん)である、ラース・フォン・トリアーの映画を思い出しながら読みました。ラース監督の映画だと、自己欺瞞の部分にばっかり焦点があたってて、他人事だと油断して観てたら、ほーらお前もだよ、と指されて笑われてるんですけど、極端ながらも、人の感情のあざとさの部分では現実的です。カトリックの人に、「トーマの心臓」とラース監督の映画をどう感じるかっていうのを訊いてみたいです。

ユーリが、少年たちの中で何故かもてるんですけど、
どこがいいんだこんなヤツ
ナルシストだし高慢ちきだし根暗でキモイ。
と思ったけど、やっぱ思春期に彼に出会ったら惹かれるかもね。心を固くしてる人って、「私だけが彼を救える」という錯覚を愛情と勘違いさせやすいしね。

あ、あと不思議と思ったことは、この漫画には主人公がいません(と私は感じた)。少女漫画だと、一人に偏ってやたらと心理描写が細かいのが多いものですが。一応、ユーリ、エーリクが中心人物だけど、読む人によって、主人公は変わると思います。誰に同調して読んだか、一番共感できるか、一番好きか、を論じてみたら、その人の現在の心理状態がわかって面白いかも。私はエーリクに同調して読んでいて、一番好きな登場人物はオスカーでした。
誰に一番、同調しましたか?


● 関連サイト 萩尾望都研究室 www.toshonoie.net/hagiken/
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