最後の家族
2005.02
村上 龍 / 著
景気の悪さはそう変わってなさそうだけど、この本が出た頃よりは、最近はそれなりに人生を楽しもう、と世間が受け入れてこれたように思います。 この本が出たのは2001年だから、ひきこもりの青年の大幅増加が世間に一気に認知され、リストラによるうつ病、自殺がピークだった頃ではないでしょうか。 この家族とほとんど同じような体験をしている家族は今もすごくたくさんいると思う。
私の親は第一次ベビーブームのピークに生まれ、私は第二次ベビーブームのピークに生まれて、両親はいわゆる典型的な団塊世代のサラリーマン&主婦で(この物語の家族はもう一世代若いが)、この物語の父親、秀吉と自分の父が似通っているのと、この頃我が家でも少し似たような変化があったので、どうしても自分と重ねて読まずにいられませんでした。
村上龍の本にはよく極論のような−ある意味短絡的な−言い切り文句がでてきてはっとするんですが、今回も 「誰かを救えるという思いは、対等な人間関係にはおこらない欲求です」 「一人で生きていけるようになること。それだけが、誰か親しい人を結果的に救うんです」
言うのは簡単だが実感するのはなかなか難しい。でもまったくもってその通りだと思う。ここ数年で家族を含め親しい人同士の関係でいやってほど思い知らされることが多かったため、読んでいて泣きそうになってしまった。
最後の家族は、新しい家族のはじまりになりました。悲観的に読む人が多そうな物語ですが、私はなんてポジティブで健全な家族なんだろう、と思いました。おすすめです。